ものがたり

羽山の大岩

羽山の大岩太陽の村に隣接している、町民いこいの森に羽山神社があります。(羽山・標高223m)
この神社は海の神様として、また家内安全、無病息災を願う人々で大変な賑わいだったそうです。古くは女人禁制の神社とも、伝えられていたという事です。
地元の人たちは、この羽山神社を親しみを込めて「お羽山さん」と呼んでいます。
 神社の境内から成田に続く古道を少し下ると、途中に穴のあいた大岩があり、この岩を「胎内くぐりの岩」と呼んでいます。この穴の中を生まれたばかりの赤ちゃんをくぐすことにより、病気をせず丈夫で元気ないい子に育つといわれていたそうです。明治の初め頃までは、羽織袴に身を正しお参りしていたという言い伝えも残っています。
ざーっと昔、今日も村のわらすども、いっぺぇ集まっで仲いぐかくれんぼや石蹴りで遊んでいだんだど。その内、元気のいいやろっ子だぢ「あっちの大岩さ行ってみねガー!」「お~行ぐべ 行ぐべ~」大岩の近くで岩に登ったり、木登りしたりして遊んでいると、一人の男わらす「俺、この穴さへえってみるがらヨ~」「あ~! そこさへえって駄目だって、おらのじいちゃん言ってだど~。バヂ当たるって言ってだど~。やめた方がいい~」。
「な~に! でいじょぶだ~」。
首曲げたり、ケッツつぼめたり、肩回してみだりいろいろ工夫してへえってみだけんど、中々思うようにいがなぐなって「お~ 俺動げねぐなったじゃ~。ちょこっと首引っ 張ってけろ~」。
「いでででで~」。押しても引いても、動がねぐなったんだど。
「ありゃ~ えれえごどになってしまったな~」。
村人だぢも集まってきて「なんたってバヂ当たりな事すて、どこのわらすだ!」。
「庄屋様の孫だど」。「ありゃ~こんではエライごどだ。怪我でもしたらエレエごっだ」。
「岩さぼっこすほかね~べっちゃ~」。「困ったなや~」。
 そこへ庄屋さんがやってくると「あ~じいちゃん、こっから出してけろ~、助けてけろ~、じいちゃ~ん、じいちゃ~ん」。
「や~や まんづまんづおらげの孫がエライ事してすまって。な~に3日もたでば出られっぺがら」。
「え~ 3日もここにいだら、おら死んでしまうべやじいちゃん こっから出してけろ。助けてけろ」。「みんなおらいさ廻って一服してけらいん。ここはい~がらい~がら。さ~さ下りで下りで」。
「ほんでな ボウズ、3日経ったらな~」と言って、じいちゃ一回も振り返らずトッ トッ トッ と山下って行ってしまったんだど。
 「じいちゃ~ん じいちゃ~ん じいちゃ~ん」だ~れもいなぐなって、だんだん暗ぐなって、遠くの大きな木がザワザワザワ・・・。
ふくろうがホーッホーッ・・・。
「あ~ 俺おっかね~ 死んでしまうわ~ 俺やってわがんね~ごどしたがら、お羽山さんのバヂ当だったんだな~。お羽山さん勘弁してけらいん」。泣き疲れて寝ですまったんだど。
次の日、鳥っこの声で目を覚ましたわらす
「あ~バヂ当だったな~。お羽山さん堪忍してけろ~ 堪忍してけろ~」そこへじいちゃんやって来て、「こりゃボウズなじょだ~」。
「あ~じいちゃん助けてけろ、こっから出してけろ」。「あのなボウズ、人に助けてもらうばっかりでは駄目だ。自分でへぇったんだから、なじょしたら出られっか考えでみろ。人ばかりあでにするな」。
「うん、わがった」。
 それがらわらすは一生懸命首だの、肩だの、ケッツだのうごがして、大岩の穴から抜け出ることができたんだど。じいちゃんが持ってきてくれたおにぎりをうまそうに食べて、家さ帰って行ったんだど。
 それからは一生懸命勉強して、後に立派な庄屋様の跡取りになったという話でした。

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